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第5回 デザイン会社を選定していこう 選定編/ベンチャー社長の「オフィス移転プロジェクト」

AUTHOR :  網野 知博

カフェ風オフィスではなく、カフェをオフィス仕様にする

弊社は2014年8月中旬に新オフィスに移転致しました。新しいオフィスに引っ越ししようかな、と思い始めたのが2014年2月上旬。それから半年ほどで無事に引っ越しました。分からないことだらけでスタートしましたが何とか無事に引っ越すことができました。次にオフィスを移転する時の備忘録もかねてオフィス移転までの経緯を連載で書いていこうと思います。普段記載しているOwned Mediaの記事と比べると非常に緩い連載になりますが、お付き合い頂ければ幸いです。

前回の「第4回 デザイン会社を選定していこう 提案依頼編」ではRFPを出してコンペ実施までをお伝えしました。今回は提案内容を踏まえてご一緒させて頂くデザイン会社を選定するところまでを書いて行きます。

「コンセプト」から入るのが流行なのか?

4社コンペだったのですが、各社それぞれ特徴がでておりました。3位と4位はすぐに決まったのですが、1位と2位は甲乙付けがたく選定は難航します。

まず、4位だった会社。こちらの要望はほぼ理解しておらず、またメーカー色べったりの提案のため、その什器メーカーが抱えるデスク、机などの什器の中で一番カフェっぽいものを選んで提案してきただけ。提案内容も全くですが、さらに予算の1.5倍オーバーで全く良いところがありません。こちらはすぐにないと判断。

続いて3位の会社。こちらはご提案の要望もよく理解して頂き、彼らなりの提案をしてきてくれました。「働く場」と「くつろぐ場」を空間に取り入れようよと言うコンセプトです。靴を脱いでくつろぐ小上がりのスペースなどを設けたり、カフェっぽさを出すために入り口にコーヒーアロマのデフューザーを仕込んだりなかなかです。なかなか良いご提案でして、他にも提案がないとしたらこれでも十分に決定できると言うレベルでご提案を頂きました。しかし、他の2社の提案が良すぎたため、今回は3位と言う形になりました。

悩んだ2社はどちらも提案の冒頭はコンセプトから入ります。両者ともに提案時のプレゼンテーションでコンセプト説明に10分程度を費やす徹底ぶり。どちらのコンセプトもこちらの要求を全て理解してくれたうえでの、彼らのオリジナルなので非常に感銘を受けました。やはり、プロフェッショナルの仕事って良いな、と陶酔します。笑

著作権の関係もあり、選定しなかった会社の「コンセプト」は掲示できませんが、弊社が採用した方のコンセプトがこちらになります。

すばり、「ギックスの仕事場」。笑

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デザイン案

「コンセプト」の説明が終わった後に、続いて実際のオフィスのデザイン案に入ります。弊社からの要望は「カフェ風のオフィスと言ってもオフィスをベースにカフェ風にしていくのではなく、カフェそのものをベースにオフィス機能をアドオンする感じ」と言うことでした。

1社は「カフェ」と言うコンセプトに、無駄と邪魔がない形に非常にシンプルにオフィスと言う機能を付加して行く形の提案になります。もう1社は、カフェと言う部分に対して華美に演出を行って行くアプローチです。オフィスとしての利用を考えると前者の方が使い易いとは思いつつ、ガラス張りのオフィスをGiXoと言うメンバーがいるショールームと言う位置づけと捉えて、後者のカフェとして華美な提案を頂いたデザイン会社さんとご一緒することになりました。

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何を基準に選ぶのか?

どちらも甲乙付けがたい提案だった時に何を基準にして選ぶのか。デザインがよりかっこ良い、値段が安い、納期が確実、営業が誠実、いくつか選択肢があると思います。弊社が選定したデザイン案は「カフェとして華美な提案」となりますが、実はデザインがよりかっこ良いからこちらを選んだわけではありませんでした。この意思決定の根底にあったのは2つの理由からなります。

一つ目は、弊社のOwned Mediaを読みまくって、弊社の事を少しでも理解して、それに見合った内容を提案しようと言う意思が強かった事。

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弊社Owned Mediaで「ギックスの本棚」と言う連載ものを書いておりますが、その「ギックスの本棚」と言うタイトルをもじり、本棚スペースとホワイトボード(正確にはブラックボード)を組み合わせた提案をしてきた事です。この1枚で、この人達は相当我々の事を研究してくれて、我々に合った提案をしようと議論を重ねてくれたのだな、と言う想いが伝わってきました。

もう一つは、オフィスの正面に記載されたカッティングシートの文字です。

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提案書のデザイン案において、GiXoのロゴと共に、ロゴの下に英語での説明文が書いてありました。普通だとこの文字の中身まで読んでもらえない事が多いと想定されます。つまり、提案時に時間がない中で、ここの文字をきちんと書く必要はなく、とりあえずダミーでそれっぽい英語風の文字をデザイン案としてだけ入れておくのでも良いにも関わらず、このデザイナーさんは(彼の英語力により英語はいまいちですが、、、)我々の提案に向けて彼が用意した英文を入れてデザインを起こしてきたのです。

これを見た時に、このように紙の細部にこだわれるデザイナーに我々のオフィスを頼みたいと心底思いました。戦略コンサルタント時代は、「神は細部に宿るので、紙は細部までこだわれ」と言う事を徹底していこうと努力してきましたが、そのプロフェッショナル根性と言うのは業界が変わっても一緒だなと痛感した次第でした。

余談ですが、ご一緒する事になったデザイン会社さんの営業さんが美人で気配りができる方でして、打ち合わせの際に新オフィスの近辺はあまり良さそうなランチの場所がないですね、と言う話を受けて、ランチマップなるものを作って送ってきてくれたりしましたが、美人に引かれて選定したわけではありません。笑

ただし、華美なものを選ぶと後が怖い・・・

と言うわけで、約1ヶ月弱に渡ったデザイン会社さんの選定ですが、株式会社ヴィスさんとご一緒させて頂くと言う事になり、こうして無事に幕を閉じて、次なる詳細の詰めに入って行きます。

とは言え、、、華美なデザインを選んだ結果、実際に詳細なデザイン設計に入ってから、「予算」「納期」「ビル側(家主)の制約」と言う多くのハードルが待ち受ける事になります。デザイン会社であるヴィスさん、家主である「三菱地所さん」管理会社である「三菱地所プロパティマネジメントさん」の間で相当の難題を抱える事になるのですが、その辺のお話は次回以降に書いていこうと思います。

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