インテンション・エコノミー:アテンション(関心)からインテンション(意思)へ |基礎から学ぶマーケ用語

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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顧客が「RFP」を出してくる世界が訪れる

本日は、「意思の経済」と翻訳される「インテンション・エコノミー」について解説します。

消費者の興味・関心を喚起する時代は終わりを告げるのか?

そのものズバリ「インテンション・エコノミー:顧客が支配する経済」という書籍から、少し長いのですが冒頭部分を引用します。

会議のテーマは「アテンション・エコノミー」(関心の経済)だった。聴講者としてメモを取りながら私は思った。「なぜ、”関心”を中心に経済を組み立てるのか、本当に価値を生み出すのは”意思”なのに」。そこで、私はその場で「インテンション・エコノミー」(意思の経済)という記事を書いた。その概要は次の通りだ。

インテンション・エコノミーは売り手ではなく買い手を中心に発展する。書いてこそが価値の源泉であり、その価値はすぐに利用できるという単純な事実に基づいている。顧客に何かをさせるために宣伝する必要はない。

インテンション・エコノミーは、縦割り市場の寄せ集めではなく、真の意味でオープンな市場として構築される。顧客は、蜂が花から花へと移って花粉を集めるように、縦割り市場を移り歩いて商談情報(そして、必然的にそれに伴う誇大広告)を集める必要がない。つまり、買い手が市場に対して買う意思を伝え、売り手が買い手の購買を求めて争うことになる。単純なことだ。

インテンション・エコノミーの本質は買い手が売り手を探すことにあり、売り手が買い手を探す(そして”囲い込む”)ことにはない。

インテンション・エコノミーの世界では車をレンタルする顧客が次のようにいえるべきだ。「3月の20日から25日にパークシティにスキーに行くので、四輪駆動のSUVを借りたい。私は、エイビス、バジェット、ハーツのメンバーです。ガソリンの前払いと保険は不要です。レンタカー会社はどのような提案をしてくれますか」。そして、レンタカー会社は買い手を得るために競合することになる。

一言でいえば「売り手が、買い手の興味・関心を惹くために努力して、AIDMAプロセスの駒を進めようとする世界」が従来のアテンション・エコノミー=関心の経済の世界で、「買い手がRFP(Request for Proposal)を出してくる世界」がインテンション・エコノミー=意思の経済の世界だ、ということになりますね。

RFPをだすには、「考える」ことが必要だが・・・

RFPというのは、IT業界やコンサルティング界隈で使われる用語ですが「私は、こういうことをやりたい・実現したいので、それについて”やり方”を提案してください」というものです。広告業界とかですと「オリエン」とか言ったりしますね。

このRFPの内容は、出してくる企業や、プロジェクトの内容によってバラバラです。

  • 情報系システムの刷新を図りたい。グループ内企業に散在する顧客情報を統合した統合顧客基盤を作ることで、顧客との関係強化を図りたい。

とかっていう、期間も予算も良くわからないどころか、そもそも現状がどうなっているのか、また、今回の提案範囲として求めているのはどの範囲なのかさえ見えてこないようなものもあります。そうかと思えば、

  • 来期が中期経営計画の節目。次の中計では、基幹システムの再構築による大幅な業務改革を盛り込みたい。特に、乱立する営業支援システムを統合・再配置し、基幹業務(受発注)とのシームレスな連携を実現することによる大幅な効率化余地を見込んでいる。まずは、システムの方向性検討のために3ヶ月程度の企画立案プロジェクトをご提案頂きたい。尚、提案時には、企画立案プロジェクト終了後の進め方についても方向性を明記頂きたい。

と、自社の課題認識はどこで、このフェーズで何を決めたいのか、それはいつまでなのか、が明確に定義されているものもあります。

但し、この詳細度の高低がどうであろうとも「まったく考えずに書く」ということはできません。自分が何を欲しているのか、つまり「要求事項は何か」を明確にすることが必要です。

(余談ですが、「後者の方がプロジェクトをやりやすいのか」というと、必ずしもそうではなかったりするのが難しいところです。要は「枠は決めたから、ちゃぶ台は返しちゃだめ」という制約によって、基幹システムに手を入れない方が良い場合でも”基幹系を必ず再構築する”という命題を抱えてしまったりするものなのです)

消費者が「インテンション」を明確化できる仕組みがつくれるか?

この「RFPをつくる」=「要求事項を明確にする」ということは、非常に難しい作業です。そもそもこの作業を放棄してしまうケースもあります。(その場合、コンサルティングファームがRFPを書くことになります)

それを消費者につくれ、というのは、なかなか酷な話です。となると、これを”ある程度自動的に”つくれないか、という話になるわけですね。

そこで出てくるのが「VRM:Vendor Releationship Management」という考え方です。この仕組みについては別の機会に解説しますが、シンプルにいうと「売り手が顧客(Customer)との関係性を管理する”CRM”=Customer Relationship Management」の反対概念として、「買い手が売り手(Vendor)との関係性を管理する」というものになります。

このVRMによって、顧客が「自分のどういう情報を、どの企業に渡すか」をコントロールすることが可能となります。そして、企業側は、その受け取った情報から「何を提案してほしいと思っているか?=どういうRFPが提示されているか」を考えて、提案してくる、という流れが実現されるわけですね。

しかし、「賢い消費者」はもっと”考える”べき

しかし、理想を言うのであれば、消費者はもっと能動的になるべきです。

そもそも、CRMもVRMも「仕組みが解決してくれる」のはごく一部です。結局のところ、CRMシステムの「アウトプット」をうまく活用して「成果」を導き出すのは企業が努力すべきことであるのと同様に、VRMシステムの「アウトプット」をうまく活用して「成果」を得るためには、消費者も努力する必要があるのです。

結局のところ「インテンション=意思」を表明するという”努力”を怠って、勝手に「インテンションをくみ取ってくれる世界」が訪れることは無いのです。能動的に”要求事項を明確にする”ことを厭わない「賢い消費者」になれるかどうかが、インテンション・エコノミーが実現するかどうかの鍵だと僕は思いますね。「幸運はそれを望む者にのみ与えられる」というのと同様、”明るい未来”もまた、それを真剣にのぞむ者のみが、手にすることができるのかもしれません。

(マーケ用語集の記事一覧はコチラから)

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