こんにちは。株式会社ギックス代表の網野です。
「私たちが目指す世界」について、自分の言葉で少しずつ語っていく場として、このブログを始めました。
このブログも第2回目。今回も、当社が目指す世界を少しずつ紐解いていきたいと思います。
今回のテーマは「ハイパーパーソナライゼーション」です。
普段はこの手の横文字のテクノロジー用語を好まない私ですが、今回はそのままキーワードを使って行こうと思います。
先日資本業務提携先であるBIPROGY株式会社の大規模イベント「BIPROGY FORUM 2025」のパネルディスカッションに登壇する機会をいただきました。
タイトルは「リテールAIのネクストステージ~GiXo・GROWTH VERSE・BIPROGYが考えるリテールAI~」です。
この講演に先立ち、改めてNRF Retail’s Big Show(世界最大級の小売業界展示会、通称NRF)の動向を再整理してみましたが、当社がここ数年追っていたトレンドと大きく離れていないことに安堵しました。
私が注目した点は2点です。
1つ目は、テクノロジーやAIが進化していくからこそ、改めて顧客体験が重要になる点。
もう1つは、今回のタイトルである「ハイパーパーソナライゼーション」というキーワードです。
まず1つ目から。
当社は「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパスとして掲げています。つまり
- 勘・経験・度胸も業務の意思決定に重要だけど、データも使った方が良いよね。
- データが完璧にそろっている訳でもない中で、データだけで機械が自動で判断していくのもいかがなものだよね。
- だからこそ、データに基づいて人間が判断していく方が、現時点では一番合理的な意思決定プロセスだよね。
と考えております。
今回のNRF2025の中心テーマは「Game Changer」(従来の小売ビジネスに変革をもたらす技術や戦略の台頭を意味)でした。これは、AIを筆頭とするデジタル技術の進化が、小売現場におけるあらゆる意思決定や業務フローに影響を与えることを象徴しています。
しかしその一方で、テクノロジーの進化が極まるからこそ、 AI一辺倒ではなく、「人間らしさの回帰」や「情緒的な顧客体験」といった“温かみ”の重要性・必要性が強く語られました。
ここに、当社が掲げる「データインフォームド」の思想、すなわち「テクノロジーを活かしながらも、“人間が考える”ことを中心に据えるスタンス」が、まさに今必要とされていると感じました。
また、昨年開催した当社イベント「GiXoデータインフォームド・サミット2024」にて、デザイナーの山崎晴太郎さんがデータインフォームドについて講演してくださった内容に通じるものも感じました。
「データドリブンっていう言葉は、データが駆動する、という風に読めますよね。この言葉がひとり歩きすることで、人間を取りこぼしていったように僕は感じています。そんな中で、今回、データインフォームドという言葉をギックスさんが提唱しているのは、とても面白いし素敵だなと思うんです。データインフォームドは、取りこぼされた人間を、もう一回取り戻すことができる付き合い方なんじゃないですかね。(山崎晴太郎氏)」
- 【前編】セイタロウデザイン山崎晴太郎代表インタビュー:DIサミット講演「デザイン経営とデータインフォームドの幸福な関係」を振り返って(2024/06/03)https://www.gixo.jp/blog/24668/
- 【後編】セイタロウデザイン山崎晴太郎代表インタビュー:DIサミット講演「デザイン経営とデータインフォームドの幸福な関係」を振り返って(2024/06/03)https://www.gixo.jp/blog/24677/
そしてもう1つは、ハイパーパーソナライゼーションです。
昨年、当社は顧客理解に向けて「ゾクセイ研究所」を立ち上げ、顧客理解に必要となるデータの下準備やゾクセイの付与の仕方、その後の分析方法などで各種アセットを開発したり特許を取得するなど、研究と実践を重ねてきました。
また、決算発表資料などでは「リアルタイム1to1マーケティング基盤」という通称で、その名の通り、リアルタイムに、1to1で、顧客に最適な情報を最適なタイミングで届けるためのデータ基盤の開発投資状況を開示してきました。
このようにデータ分析側は、顧客を理解して最適なオファーを提供するという観点では、もう数年も前から準備が整っていました。
しかし、顧客に適切な情報を届けるための手段(デバイス・メディア)と、最適な情報を届けるタイミングがボトルネックになっていました。
ボトルネックは技術的な問題ではなく、経済合理性の問題です。
ただ昨今、各企業のスマホ会員アプリが普及し、裏側のデータとフロントアプリがつながることで、アプリユーザー一人一人に対してその人にとって最適な情報を届けることが、経済合理性の面からも実現可能になってきました。
また、何かのトリガー情報をリアルタイムに補足し、その瞬間にタイムリーにその人向けに情報を届けるリアルタイムの世界もまた、経済合理性に見合う範囲内でシステムを実装することが可能になりました。
こうした技術の発展と共に、顧客に最適な情報を届けることが経済合理性に合う投資や費用で実現できるようになり、ハイパーパーソナライゼーションというキーワードが改めて脚光を浴びたのだと思います。
また、1つ目の情緒的な顧客体験に通じますが、これまでの企業が売り上げを上げることだけに重きを置いたクロスセルをするためのリコメンデーションから、顧客がよりパーソナルな体験(おもてなし)*を得るための取り組みにシフトすることで、結果として顧客のLTV向上が実現できるのだと考えています。
*消費者の75%が「よりパーソナルな体験」を求めてお気に入りブランドから乗り換える可能性があるとも報告。70%以上の消費者がパーソナライズを期待しており、それが感じられないと不満に思う。現代の顧客は自分向けにカスタマイズされたサービスを当たり前と捉えており、逆に画一的・没個性的な体験しか提供できないと機会損失につながる。
出典:What is personalization?
現在私たちは、「その人にとって最も意味のある情報や体験を、最もよいタイミングで届ける」ことを実現するためのサービスとして、CU/ADS(クアッズ)を提供しています。
- ギックス、「顧客理解No.1カンパニー」を目指したサービス「ADS for Customer Understanding:CU/ADS(クアッズ)」を発表(2025/04/04)https://www.gixo.jp/news-press/27071/
このCU/ADSにより、クライアント企業がハイパーパーソナライゼーションを実現することが可能になります。
リアルタイムに1to1に適切な情報を顧客に届けるUI部分は、“Smart Execution”という呼び方をしていますが、行動データで顧客を理解するマーケティングツール「Mygru(マイグル)」を用いて、エンドユーザー一人一人にわかりやすく情報を提供し行動変容を促していきます。
Smart Executionは、「その人に合わせて、いつ、何を、どのような条件で届けるか?」を即時に判断・実行するCU/ADSの“エンジン”から出される情報を、適切に顧客に届ける役割を持っています。
Mygruは単体でもご利用いただけるソフトウェアとして展開していますが、CU/ADSのSmart Executionとして、更に進化していく予定です。
また、顧客の行動を促すための仕掛けに関しても継続的に特許を出願し続けており、今後はクライアントの収益に直接的なインパクトを与えるサービスとして高度化させていく予定です。
今後もこの場を通じて、ギックスが目指す「判断の進化」や「顧客体験の革新」について、さまざまな視点からお伝えしていきます。引き続きどうぞよろしくお願いします。