社内業務の「BPR」をお題に社員教育を行えば、まさに一石二鳥!|“考え方”を考える

AUTHOR :  田中 耕比古

BPRは実益を得られる最強の研修テーマ

業務改善とか、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)とかいう言葉を聞いたときに、「面倒だな」「今までのやり方でいいじゃん」と思う人は多いことでしょう。わかります。その気持ち。

しかし、大前提として、それらの改善活動は、将来のための活動、なのだということを意識していただきたいと思います。従来の慣れ親しんだやり方を変えるということは、一時的に負荷が上がることを意味します。しかし、それは、「今のあなたが頑張ることで、明日の誰かが楽になる」ということを目指しているのですから・・・。

こんにちは。愛のBPR伝道師、田中です。本日は、BPRというお題を使って社員教育をしながら、業務改善による効率向上成果も得たんだよ。というお話をさせていただきたいと思います。

BPR、やろうぜ。

BRP(ビジネスプロセスリエンジニアリング)をうまく実行すると、以下のような効果が得られます。

  • コミュニケーションロスが減る
  • 無駄な作業が無くなる
  • ミスが減る
  • 手戻りが減る

これらの効果をひっくるめると「業務効率が上がる」ということになるわけですね。

この活動を、世の中の多くの企業は、コンサルティングファームに発注して行っていくわけですが、ベンチャー企業である弊社にはそんな金銭的な余裕はありませんし、そもそも、弊社がコンサルティングファームなわけですから、自社リソースでやった方が良いに決まっています

しかし、BPRのプロジェクト経験が豊富な僕が、僕の思うがままに業務改善活動をやるのでは芸がありません。また、役員が強権発動した、という風に受け取られてしまうのも不本意です。業務改善においては、現場の困りごとが解決されることを第一義に置くべきだ、と愛のBPR伝道師 田中は思うのです。(当然ながら、現場が気づいていない困りごと、を解決するケースもあります。あしからず。)

ということで「(BPR経験のない)社内メンバーを担当に立てて、BPRプロジェクトとして立ち上げる」ということになりました。確か、2016年の夏頃だったのではないかと記憶しています。

改善活動が、組織に根付いた

最初は、主担当を1名。その上にアドバイザー(管理者)を1名、という2名体制で取り組み始めたこのBPR活動は、開始から1年が過ぎた現在は、中堅メンバー4名に加えて若手も1名巻き込む大所帯にふくれあがりました。主担当としてアサインした1名に対しては、丸1年を費やして、BPRの考え方とコツを叩き込んだわけですが、ここ数ヶ月は、自社の業務改革のタスクフォースを立ち上げて、勝手に自走してくれています。上記のようにメンバーが増えていったのも、彼が自発的にメンバーを巻き込んでいった結果です。素晴らしい。

当初取り組んでいた、分析業務の仕様検討ー伝達プロセスに関する改善活動は既に終了しました。先日、僕が通りかかったときには、弊社の事業の核であるイテレーション型分析プロセスにおいて、最大の売りである”柔軟性”を残しつつも、可能な限り定型化することを目指して喧々諤々の議論を交わしていました。この改善活動が実現すると、作業効率を向上させつつ、同時にミスや手戻りを減らすことが可能になります。また、現在、検討に参加していないメンバーに関しても、どの段階まできたら、どのケイパビリティを持ったメンバーを巻き込むのべきか、なども検討の俎上に上がっていました。プロジェクトマネジメント力も向上していると言えるでしょう。

こういう改善のテーマ出しから、検討の進め方の自発的且つ自律的にやってくれるのも極めて有難いのですが、それよりも楽しそうにやってるのがとても嬉しいです。

正直、ここまでくる道のりは果てしなく長かったのですが、チームとしての地力が上がり、良いスパイラルを形成しています。ああ、多大なる教育工数・レビュー工数を投下して、本当によかった・・・(涙)

BPRには、「仕事のコツ」がてんこ盛り

実際にBPRをやろうとすると、以下のようなタスクをこなしていくことになります。

  1. 対象業務をプロセス(フロー)に分解する
  2. さらに、その前後のプロセスも明確にする
  3. 各プロセスの課題、起こりがちな問題を洗い出す
  4. 何をどのように変えれば、業務効率が上がるかを考える
  5. 変えた際に、他にアタリが出ないかどうかチェックする

これらのタスクをしっかりと洗い出して、実際に実行していこうとすると、「ビジネスプロセスを分解する能力」「課題を検知する能力」「スケジュール策定能力」「プロジェクトの進捗管理能力」が求められます。そうです。この一連の作業で及第点が取れるなら、いっぱしのコンサルタントとしてやっていくだけの能力がある、ということを意味するわけです。

さらに、上記の活動に加えて「大局的に物事を捉える能力」を導き出すように指導することもできます。例えば「そんな小さい改善効果しか出ないの?チマチマやってていいの?」「この業務自体を丸ごと無くしちゃう、みたいなドラスティックなアイデアは無いの?」「問題になっているプロセスの前工程にメスを入れたら、一気に解決したりしない?」などの問いが有効です。これらは、前から順に ”狙う効果の大きさ確認”・”大きな取り組みへの変更余地”・”前提を覆す”といったような視点変更を促していますね。

上記のようなタスクの実行や視点変更を促すためには、適切なレビュー・指導が必要不可欠なのですが、反対に言えば、それさえやっていれば、自ずと「仕事のやり方が身につく」わけです。

BPRを社内 ”研修” に使うためのポイント

さて、この活動のお話を周囲にさせていただくと、よく「どうやってるの?」と聞かれます。僕がやっていることは極めてシンプルです。

常に、「クライアント 兼 レビュアー 兼 スーパーバイザー」という3つの役回りを、まとめて僕ひとりで行う。以上です。ね。シンプルでしょ?

打ち合わせのたびに、このすべての立場からコメントし、全方位でボッコボコにする、の繰り返しですね。

  • クライアントは、課題を定義し、期待値を伝えます。課題からズレてたり、それにミートしてないようだとフルボッコの刑に処す。
  • レビュアーは、有償プロジェクトとして見た際の品質をチェックします。効果が小さいとか、現実的に実行可能な業務変更じゃないとか言う場合には「こんなクオリティで客に出せるかボケェ」とフルボッコです。スケジュール遅延も、この人の逆鱗に触れるので要注意です。
  • スーパーバイザーは、工程管理と、検討内容の方向修正を行います。マイルストーンのタイミングと内容は適切か、そもそも、BPRのやり方として今のアプローチで大丈夫か、論点のヌケモレはないか、などをチェックします。今回のロールの中では比較的優しい人格かもしれません。ただ、「実力の差」を常に見せることで、メンバーの向上心を煽る必要がありますね。

これらを、全部ひとりでやるのがポイントだと思います。

実際のプロジェクトでは、クライアントとレビュアーとスーパーバイザーが別人なので、理解度の違いやコミュニケーションロスによる手戻りとかが起きちゃいます。そういう非効率の原因を排除しつつも、それぞれの視点でガチレビューをすると、純粋に「プロジェクトの遂行力」だけを鍛えることができるんですよね。お勧めです。

やっててよかったBPR

業務が効率的に運営されるようになりつつあることに加えて、この一連の活動によって、社内に、

というような行動変化が生まれました。シックスバブルの話を紐解くまでもなく、企業変革で最も困難且つ意味があるのは「ビヘイビア(行動)の変化」です。ここに至ったのは、非常に良かったですね。

また、当然ながら、BPRの本来の成果である「業務効率向上」にも寄与するわけなので、まさに一石二鳥。いや、むしろ、今後の継続的な改善効果を考えれば、一石三鳥、四鳥くらいの感じでしょうか。みなさんも、身近なBPRプロフェッショナルを講師に据えて、ハンズオン型BPRを社内メンバーの育成研修という位置づけで取り組んでみたらよろしいのではないかと思いますです。

え、そんな便利なやつが身近にいない?なるほど。弊社の田中というモノがですね、ちょうどBPR経験が豊富でして、はい。

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