(4)棒グラフを使い倒せ!|事業会社の新入社員が知るべき「データ分析」のお作法

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

シンプルだからこそ、解釈の余地が大きい

前回「グラフは5種類覚えておけば十分」というお話をしました。今回は、その中でも重要度の高さで双璧を為す「棒グラフ」「折れ線グラフ」のうちの一つ、「棒グラフ」について解説します。

棒グラフ=ボリュームを示すのに最適

前回もお伝えした通り、棒グラフは、ボリュームを表現するのに適しています。ですので、縦軸は常に「量の大きさ」です。棒が高ければ高いほど「量が多い」のです。シンプルですね。
そうすると、横軸を何にするか、という話だけ考えればOKです。
具体的な例を挙げると

  • 要素(同じ要素の別のモノたち)
  • 時間
  • 範囲

みたいなものが代表的です。下図をご参照ください。

図:棒グラフの基本構造

graph_howto_04
”要素”というのは、「支社・支店」「商品・商品カテゴリ」などの”比較したいカタマリ”です。図中では、A支店・B支店・C支店・・・という「支店」を示しています。縦軸は売上と置いていますので、この棒グラフでは「C支店が一番売上が少ない」「E支店が一番売り上げた」ということがわかります。
一方、”時間”を横軸に取ると、推移を追うことになります。縦軸に生産量と置きましたので「いつ、どれくらい生産したのか」を示すグラフになります。ここでは、2014年度が最多生産ということがわかります。尚、時間の幅は、適宜調整することになります。コンビニの来店客数なら日別あるいは時間帯別などが適当でしょうね。
最後の”範囲”ですが、これは、ヒストグラムと呼ばれるものと同じです。横幅を範囲ととり、高さには、その範囲に含まれる”数”を示します。図中の例では、各年代ごとの登録会員数の多寡を示していますので「50代の会員が一番多い」ということが分かります。

たかが棒グラフ、と侮るなかれ

と、まぁ、ここまでは至極当たり前だと思う方も多いでしょう。しかし、これをしっかり使えるか、となると微妙です。
例えば、支店別売り上げを「もっと詳しく分析しよう」と言われたら、どういう分析をしていくべきでしょうか。
最初に考えるのは「内訳」でしょう。どういう商品で売り上げが構成されているのか、と考えるわけです。あるいは、どういう顧客群によって売り上げが構成されているか、という視点でも良いでしょうね。これにより「各支店のビジネス構造」がわかります。この際に使うのは「積み上げ棒グラフ」ということになります。
その次に考えたくなるのは、その「比率」です。いわゆる「構成比」という奴ですね。これは「100%棒グラフ」で示すのが分かりやすいです。売上が小さい支店でも、頑張って「本部の意向に沿って新商品を売っている」ということが分かれば、既存商品を大量に売っている支店よりも、会社としては評価すべきなのかもしれません。あるいは、新規顧客を沢山とっているなら営業を頑張っているとも言えますし、反対にリピーターの比率が少ない支店は何らかの問題を抱えているのかもしれません。このあたりは「業種業態」によって変わりますので、どのように解釈するかが鍵となるわけです。

図:棒グラフの応用

graph_howto_05
この考え方は、今回の商品カテゴリの話に限らず、例えば、会員の男女比率あるいは年齢構成比の話であっても同じですね。さまざまな切り口が考えられますが、その中で”筋の良さそうなものから順に”「積み上げ」→「構成比」を見ていけば良いでしょう。
このように「順を追って」しっかりと分析を進めていけば、棒グラフだけでも、十分に”深い洞察”を得られるハズです。
次回は、大事なグラフの双璧を龍虎になぞらえるならば「虎」に相当する、折れ線グラフについて解説します。

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