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富士ゼロックスが調達の取引過程を分析 ~約800社の年間200万件以上をデータ化~(日経ビックデータ7月号)|新時代の分析のあり方を考える(グラーフの眼)

AUTHOR :   ギックス

記事要約

富士ゼロックスでは、5月に部品メーカーなどの取引先からの調達業務をWebベースに切り替えた。それにより、「依頼」「受領」「回答」「変更」「再依頼」などのステータスが自動的に取得可能になった。従来は、メールやFAXで行っていたため、進行状況が難しかったが、この改革により状況が改善された。今後は、長期的に蓄積されたデータを活用し、調達業務の効率化や震災など非常時のサプライチェーンの復旧、優れた調達担当者の行動パターンのモデル化、などを目指していく。

システムの得意な”自動変更”が、改革の鍵

この取り組みのポイントは、進行状況を把握する指標である「ステータス」を自動的に付与するところです。付与されるステータスは、特に目新しくはないのですが、”自動”というところが鍵でしょう。
一般的な仕組みであれば、担当者がステータスを入力した場合に、人為的なミスが発生する可能性があります。例えば、取引中に注文個数を変更する場合、本来であれば調達のステータスを変えなければなりません。しかし、仮にステータスを変更しなくても、取引そのものには影響がでません。そうすると「本業と関係ない部分として、変更し忘れてしまう」ということが起こります。一方、富士ゼロックスの仕組みであれば、入力項目に連動して、ステータスが自動的に変更されますので、ステータス情報の信頼性が高まります。
システムは、こういう「単純だが、忘れがち」な部分を、人間に代わって行うことが得意です。こういう仕組みをしっかりと活用することは、分析のためのインプットデータを作成することにつながります。
(関連記事:センサーデータ

データ活用の可能性は幅広い

記事概要で触れたように、この「精度の高い情報(=ノイズの少ない情報)は、様々な活用が期待されます。先述の活用方法に加えて、例えば、「優れた調達先企業」を分析してみるのも良いのではないかと思います。
調達先企業の多くは、富士ゼロックス1社だけでなく、複数の企業とやり取りしているでしょう。そうすると、他社で大量の発注が行われ、部品在庫が減少することが起こりえます。そんな場合に、富士ゼロックスの発注に対する納品に影響が出ることがあるのか、無いのか、は、調達先の評価指標として用いることができそうです。そのほかにも、季節や社会情勢など様々な要因が、納期に影響を与えることがあるでしょう。
蓄積したデータを活用し、依頼内容の発注品、時期、個数、頻度などの情報から、その時点での最適な発注先を選定することができるかもしれません。
このベンダー管理の考え方は、より一般的な商品を取り扱う業種、例えば、スーパーなどの小売業においても活用可能な仕組みかもしれません。

ステータスを管理する、という考え方

このシステムには、案件の回答期限をチェックして、担当者に対してアラートを投げる仕組みがあります。何かの作業に対して、依頼を投げっぱなし/受けっぱなしになることは、人為的ミスに繋がります。このアラームの仕組みも重要ですが、その結果「実行されたかどうか」が非常に重要です。
この仕組みも、先ほどの「ステータス管理」と同様に、仕組みによって自動的に情報取得をすることができれば、分析の余地は広がります。
(関連記事:従業員ログ分析
こういうシステムの得意な領域はシステムに任せ、人間は、人間の得意な(そして、人間にしかできない)部分に注力していくことが望ましいのではないでしょうか。

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