BI(Business Intelligence)とは ~”意思決定”に価値を出すべし~ |データ分析用語を解説

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

ビジネス・インテリジェンス=ビジネスにおける意思決定をすることが目的

BIすなわちビジネスインテリジェンス、という言葉を、みなさん聞いたことがあるでしょう。
しかし、その言葉の意味をしっかりと理解している方は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。本日は、非常に基礎的なところから、BIという言葉について考えてみたいと思います。

インテリジェンスは、NOT知能、BUT知識

そのものずばりの書名「ビジネス・インテリジェンス」より引用します。

インテリジェンスとは何だろう?
我が国で、「インテリジェンス」というと、真っ先に思い浮かぶのは「知能」という意味であろう。「あの人はインテリジェンスが高い」というように使われるが、それはここでテーマにするインテリジェンスではない。
次に思い浮かぶのは、スパイや盗聴といったイメージではないだろうか。それも、ここで扱うインテリジェンスではない。
ここで扱うのは「知識」としてのインテリジェンスである(実際は「インテリジェンス」というと、「知識」としてのインテリジェンスを生産するためのインフォメーション収集・分析のような「活動」を指すこともあるし、インテリジェンス関連の「組織」を指すこともある(中略))
それは移り変わる現実をメモや録画、録音と言った形で切り取った情報、つまり「インフォメーション」を収集し、それを分析して生産されるもので、我々が判断・行動するために必要な知識なのだ。
出所:ビジネス・インテリジェンス 未来を予想するシナリオ分析の技法(東洋経済新報社)

関連記事:グラーフの本棚/ビジネス・インテリジェンス
つまり、「インテリジェンス」と聞いて、「知能」や「スパイ」という言葉を思い浮かべる人の頭の中にあるのは「佐藤優的な世界のインテリジェンス」です。ビジネス・インテリジェンスという言葉で表現される際の「インテリジェンス」は、判断や行動の”インプット”となるべき知識のことなわけですね。

ビジネス・インテリジェンスの目的は、「ビジネスにおける意思決定」である

では、”ビジネス”インテリジェンスとは何でしょうか。同じく、上記書籍より引用します。(文中のCIは、競争に勝つためのインテリジェンス=Competitive Intelligence を指す言葉ですが、企業・事業にまつわる領域に限れば、BI=ビジネス・インテリジェンスと同じ意味と考えてよいです。)

へリングによるCIの定義を紹介しよう。
「我々を取り巻く環境に関する知識と未来予想で、マネジメントの判断・行動の前提となるもの」
ファルドの定義はこうだ。
「判断を可能とするまでに分析されたインフォメーション」
既述のACI*の定義はこうだ。
「インフォメーションを体系化して現れる知識で、企業の判断を可能とするもの」
 
引用者注 *:ACI=CIアカデミー。CI専門家の養成機関のこと。

ひとことでいえば「各種”情報”を集約・体系化することによって、意思決定・判断・行動につなぐことができる”知識”」ということになるでしょう。
つまり、ビジネス・インテリジェンスの目的は「ビジネスにおける意思決定をすること」となるわけです。(なお、知識ではなく”知恵”なのではないかという気もしますが、ここではそれは横においておきます)

BIというときに、本当に「意思決定」を目指しているか

本書の中に、非常に面白い逸話があるので引用する。

1980年代の半ば、ヘリングらがビジネスの世界にインテリジェンスの考えを持ち込んだときに、(中略)マネジメントはインテリジェンスがなにかを理解できず「それらを集めれば、みながほしがるようになる」、つまり「インテリジェンスだか何だか知らないが、とにかく集めてこい。もしよいものだったら金を出してやる!」という態度をとったというのだ。(中略)インテリジェンス・サイクルは、マネジメントの情報要求、つまり「こういうインテリジェンスがほしい」という要求に基づいて、それを満たすためにインフォメーションを収集・分析してインテリジェンスを作り上げるのだ。しかし肝心の要求が無ければ、サイクルは回らない!
「何が欲しいかは、あなたが決めるんですよ」と言っても当時のマネジメントには通じない。(中略)この状況を、SCIPの会長を務めたジョン・ノーランは「フィールド・オブ・ドリームスのインテリジェンス版」と呼んだ。

さて、この逸話、過去の話だと笑い飛ばせるでしょうか?

あなたの「要求」は何ですか?=あなたは「何を意思決定したい」のですか?

なにも、システムの要件定義をすべきだ、と言っているわけではありません。しかし「何でもいいから任せる」というのは困ります。
要求とは、「何を知りたいか」「どんな結果を得たいか」などのOUTPUTベースでも良いですし、「何を意思決定したいか」などのOUTCOMEベースでも良いです。(後者の方が、より望ましいですが。→関連記事:OUTPUTとOUTCOME
その要求が無い状態では、インテリジェンスは”定義さえできない”でしょう。
ビジネス・インテリジェンスのゴールは「自分の頭で考えて、意思決定すること」です。決して、巷のBIツールが自動的に答えをくれるわけではありません。
最初に必要なのは「正しい問い=答えるべき問い」と「それによって意思決定したいモノゴト」のセットです。それをインプットとしたBIツールの出力結果をもとに、自分の頭で”意思決定”に向けて考えることが、ビジネス・インテリジェンスの本質です。
データ分析用語:索引

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