アウトプット(output)とアウトカム(outcome)の違い ~成果につながらない分析結果は、ただの”お勉強”である~

AUTHOR :  田中 耕比古

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

アウトカム=成果にこそ意味がある

本日は、アウトプットとアウトカムという2つの概念について解説します。

アウトプット=「出力結果」

まず、アウトプットという言葉です。英語表記ではOUTPUTとなります。
アウトプットに対応する言葉、といって、最初に思いつくのは(アウトカムではなく)インプットではないでしょうか。インプットとアウトプットというものは、「何かを入れたら、それに対応して何かを出してくる」なんらかの処理機構(それが組織であれ、機械であれ、個人であれ)がある場合に、”そこに入れるもの=インプット”、”そこから出てくるもの=アウトプット”という理解をしておくのが良いと思います。
要は、処理機構の「中に(IN)押し込まれる(PUT)」ものと、「外に(OUT)押し出される(PUT)」ものの違いで考えればよいでしょう。
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アウトカム=「出力結果を元にして獲得した”成果・効果”」

さて、アウトカムはどうでしょうか。英語表記ではOUTCOMEです。INPUTとOUTPUTは、それぞれIN方向あるいはOUT方向にPUTされていたわけですが、今回はOUT方向にPUTされるものCOMEするものの違い、ということになりますね。
少し感覚的ですが、OUTPUTは「処理機構の都合で勝手に押し出されてくるもの」で、OUTCOMEは「誰かの主体的な活動によって生み出した(やってきた)もの」という理解をするとよいのではないでしょうか。
まとめると「処理機構が出してきたアウトプットを、解釈し、それに応じて何らかの行動を起こした結果、得られた成果がアウトカム」ということですね。
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アウトプットは待っていれば出てくる。アウトカムは出てこない。

ここで非常に大切なのは、「アウトプットは誰かに依頼すれば出してくれるが、アウトカムは自分で頑張らないとでてこない」ということです。
部長さんが、課長さんやチームメンバーに「××について考えろ」とか「○○について分析しろ」といった場合に、部下から出てくるのは”考えた結果”だったり、”数字を集計した結果”(もう少し頑張ったとしても、”そこから得られた示唆”)だったりします。これはアウトプットです。
そのアウトプットから何かを読み解いて(解釈して)、打ち手や対応方針などの意思決定を行うのは、その業務を依頼した部長さんの役目です。だからこそ、その解釈に基づいた意思決定によって得られるはずの「成果」および、失敗した場合の「責任」は、部長さんに帰属することになるわけです。この”得られるはずの「成果」”がアウトカムということになります。

BIツールやコンサルも、アウトプットを出してくるだけ

そういう意味では、BIツールやコンサルタントが出してくるのはアウトプットです。アウトカムではありません。(アウトソーシングプロジェクトなどは成果にコミットする、と言えるでしょうが、例外だと言ってよいでしょう)
アウトプットから、何を考えて、どういう意思決定をして、その施策を実行していくかを考えるのが「BIツールを導入した人」あるいは「コンサルタントに依頼した人」の腕の見せ所なわけですね。
アウトプットを眺めて、そこで思考停止をすることが無いように気を付けたいものです。

スタッフも「アウトプット」を出しただけで満足するな!

最後に、先ほどの例で述べた「部下」の皆さんも、気を付けるべきことがあります。それは、「依頼されたことを頑張ってこなしてアウトプットを出したからといって、満足していてはいけない」ということです。
ビジネスにおいて、重要なのは「分析結果」でも「考えた結果」でもありません。それらを活用して、「成果」につなぐ部分です。例えば、マーケティング部門が広告を作ってそれが世の中に出た!というのはアウトプットです。それを見て、社名を認知してくれた、自社商品を買ってくれた、がアウトカムです。あるいは、経営企画部門が素晴らしくわかりやすい役員報告資料を作った、というのはアウトプットです。その役員会で為された意思決定によって会社の業績が上向いた・伸びた、ということがアウトカムです。
必死で作ったアウトプットも、アウトカムにつながらなければ意味がありません。常に「アウトプットを自分なりに解釈する」「解釈の結果、とるべき行動を考える」という”意思決定に繋ぐためのもう一歩”を意識することを心がけましょう。

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