「考えた順序」と「説明する順序」は、違いますよ:説明下手を克服しよう|”考え方”を考える

AUTHOR :  田中 耕比古

結論を述べる、ということは、プロセスを端折る、ということです。

「説明下手を克服し、説明上手を目指そう」というテーマで不定期連載をしています。連載記事の一覧はコチラからご確認いただけます。

本日は、説明上手への道の【基本のキ】とも言うべき「”考えた順序”と”説明する順序”は違う」というお話です。

考える と 説明する は全然違う!

説明下手と説明上手を隔てるルビコン川は、相手の立場に立てるかどうか、の一点に尽きます。

説明下手な人は、相手の立場に立てません。説明上手な人は、相手の立場に立てます。(関連記事:相手の立場に立って考える

考えた順序は「あなたにとって」の分かりやすい説明順序です。

説明下手な人は「自分で考えた順序」で説明しようとします。

例文①:

朝、家を出たら、とっても良い天気だったんですよー。雲一つなくて。ああ、いい天気だなー、夏だなーって思いながら歩き始めようとしたところで「あ、そういえば、天気予報で”雨”って言ってたな」って思い出したんです。うちの会社、最寄駅から5分くらいかかるんで、雨だと困るなと。こりゃぁマズいぞ!ってことで、家に戻って傘を持っていくことに決めたんです。いやー、正解でした!

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はい。まぁ、雑談としてはいいんでしょうけどね。って感じです。

相手にとっては、どの順番が望ましいのか?

ここで考えるべきは、「相手にとっては、どの順番で説明されることが望ましいのか?」という視点です。これ、超大事です。(関連記事:相手の立場に立って考える

例文②:

今日、僕は傘を持ってきたんですよ。折り畳みですけどね。朝一は、とってもいい天気でしたけどね。雲一つないし。ただ、天気予報は雨だったでしょ?うちの会社、駅からそれなりに歩くから、降ってきたらガッツリ濡れちゃうじゃないですか。降るかどうかは怪しいなーと思ってちょっと迷ったんですけど、持ってきて正解でしたね。。

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途中で遮られても大丈夫なのはどっちだ?

この会話の途中に、携帯が鳴ったとします。どちらが「遮られたときに、困るか」を考えてみてください。

例文①の場合:

朝、家を出たら、とっても良い天気だったんですよー。雲一つなくて。ああ、いい天気だなー、夏だなーって思いながら歩き始めようとしたと「あ、電話だ!」

例文②の場合:

今日、僕は傘を持ってきたんですよ。折り畳みですけどね。朝一は、とってもいい天気でしたけどね。雲一つないし。ただ、天気予報は雨だっ「あ、電話だ!」

さて、どうですかね?(まぁ、所詮はは雑談なんで、どっちも困んない、って話でしょうけども(笑))

仕事では「絶対に」相手に合わせろ。

上記のようなプライベートでの会話なら別に良いのですが、仕事においては「自分で話したい順序」では絶対にダメです。「相手が聞きたい順序」で話しましょう。

少し細かいですが、まず、下図をご覧ください。

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この例のポイントは、

  • 結論を前に出す(通常、思考順序としては最後になる)
  • 結論のために必要な”前提”をしっかり共有する

というところです。相手は結論から聞きたいのは分かっているけれど、「”情報レベルを揃える努力”を怠ってはだめ」というところですね。

ということで、「状況理解のために必要な前提情報の共有」→「相手が聞きたい順序で説明」→「補足情報(時間が無かったり、興味が無かったら話さなくてもOKな情報)の伝達」という流れになるわけです。

「考えた順番」を伝えたがるのは”作業者”

考えた順番を伝えるのは、作業の順番を伝えることと同じです。その「作業順序」を報告したら褒めてもらえる!という発想はペットの犬と似ています。わんわん。

もちろん、新入社員や、新業界に転職したばかりの人は、”作業プロセス・作業手順の確認”という目的で、思考順序・作業順序の報告を求められることがあるでしょう。しかし、そこには「付加価値は無い」と心得てください。指示通りにやっているかどうか報告しろ、と言われているわけですから、それは「マイナスが無いことの証明」なんです。それを求められているうちは「ミスしてるんじゃないか?」と疑われてる=一人前と認められていない、ということです。1日も早く、そこから脱するように心がけるべきだと思います。

この”作業者”の立場を抜け出すということは、「言われたことをこなした価値」を誇ることをやめ、「自分で考え、導き出したものの価値」について胸を張って宣言することを意味します。これこそ、ホワイトカラー、知的労働者ですよね。

こんなに考えたんです!こんなに頑張ったんです!というプロセスを延々と伝えることをやめて、結果、こうなった!という最終結論を端的に伝えるようにすると、「説明上手」に近づけるかもしれませんよ。

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