Webサイト設計、改善に役立つ「コンセプトダイアグラム」(4) | まとめ – コンセプトダイアグラムの価値

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

分析は手段であることを意識する

これまで3回に渡ってコンセプトダイアグラムのご紹介を行いました。本稿ではまとめとして、コンセプトダイアグラムの価値についておさらい致します。

プランと施策の橋渡し役になる

大まかな計画やイメージがあった際に、それを実現するための施策を目的に沿った洗練されたものにすることは容易ではありません。
例えば、あるレストランが新規顧客の増加を狙って、都内某所で開催されるグルメイベントへの参加を予定しているとします。このイベントに際してお知らせページを作成するという施策を立案したとしても、日次や場所といった基本的な情報の掲載にとどまってしまうというように、実施する施策がおおざっぱなものになってしまうことも珍しくはありません。
イベントに参加するモチベーションが既に高い来訪者であれば、日時や場所が分かれば十分かもしれませんが、そうではない来訪者に興味をもってもらいたい場合には、基本的な情報のみでは不十分です。イベントに対する興味をもってもらえるよう”イベントの魅力”をしっかりと伝える必要があります。そういう場合に、コンセプトダイアグラムを用いることでターゲット像を明らかにすれば、どのようなテイストでページを作成すればよいのかを決める指針となります。
また、「とにかく一度利用してもらえればファンになってもらえる」という確固たる自信がある場合には、クーポンの発行も効果的でしょう。イベント後に収集したデータの分析を行うことで、クーポンの発行が顧客獲得に繋がったのか否かを確かめることも可能です。この際にも、コンセプトダイアグラムで指標を明確にしておくことで、チェック・アクションにつなぐことができます。
このようにコンセプトダイアグラムは、場当たり的ではない計画的な施策立案や、仮説に基づく施策の振り返りに資するものとなります。

継続的にwebサイトの改善を行う道しるべになる

第3回でご紹介した通り、コンセプトダイアグラムの作成で明らかにする事柄は以下の3点に整理できます。

  1. ユーザー視点での行動
  2. 行動に対応したwebサイトのコンテンツ・機能
  3. ユーザーが想定通りの行動をとっているのか、実施した施策で効果があがったのか検証するための指標

これら3点を明らかにするべくコンセプトダイアグラムを作成し実際に活用を行うことが、立案・実施・計測・改善という一連のサイクルを回すことに繋がります。1からユーザーの行動およびニーズを設定し、2からユーザーを満足させ得るような機能、施策を立案および実施する。3から行動の変容が現れる指標を見定め、計測する。計測結果からユーザーの行動およびニーズを見直し・・・という流れを作り出すことが出来ます。このようにコンセプトダイアグラムの作成・活用は、継続的にwebサイトの改善を行う手助けにもなります。

分析を手段として用いる枠組みになっている

アクセス解析ツールでは多様な数値を取得し確認することができるだけに、見るべき指標が定まらず闇雲に数字を追うという状況に陥りがちです。その結果、データを収集して並べることが目的になってしまいかねません。まず数字を眺めに行く前に、コンセプトダイアグラムを用いてチェックすべき指標を定めることが、次のアクション、ひいては成果に繋がる分析を行う一助となります。
webに限った話ではありませんが、分析は分析そのものだけでは成り立ちません。分析はあくまで手段であり、大別して以下2つに役立てるため用いられます。

  • 施策の立案(仮説の構築):相手にどのような行動をとって欲しいかを決める。そのための具体的な施策を立案し、実施する。
  • 成果の検証(仮説の検証):施策実施後に、対象者は実際にどのような行動をとったのか確かめる。種々のデータから、詳細な行動および心理を推測する。

繰り返しになりますが、分析は目的ではなく手段であると意識することが、分析を成果に繋げる第一歩です。この第一歩を踏み出すためにも、コンセプトダイアグラムは有用です。それは、これまでご説明した通り、コンセプトダイアグラムはwebサイトの目的およびその達成に必要な機能(施策)、計測すべきデータを整理する際に非常に便利なツールであるためです。
目的を定義し、計測すべき指標を明らかにすることは、成果に繋がる分析を行うために踏むべき手順です。何を目的としているのか。どのような機能や施策が必要なのか。実装した機能、実施した施策は狙った効果を生んでいるのか。これらを意識してwebサイトの改善に取り組もうとされる方々にとって、コンセプトダイアグラムは心強い武器となるはずです。
【連載記事:Webサイト設計、改善に役立つ「コンセプトダイアグラム」】

  1. そのアクセス解析は何を知るためのものですか?
  2. ユーザー視点でWebサイトを捉える
  3. 作って終わりではなく、継続して活用する
  4. Webサイト設計、改善に役立つ「コンセプトダイアグラム」(本稿)
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