決算早期化の取組み:DI経営のために

AUTHOR :   ギックス

経理財務部長の久保です。
本日は、経理財務部より、当社の「決算早期化」について紹介いたします。

上場会社=決算早期化が必要

当社は2022年3月30日に東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場いたしました。上場するということは、投資家から投資していただいた資金をもとに会社を一層成長させていくことです。会社の成長は、単に売上や利益を大きくすれば良いというものではありません。市場から得た資金を有効な投資に回し、利益を生み出すといった一連の営みを適切な管理体制のもとで行い、事業を成長させなければなりません。

適切な管理体制を構築するため、管理体制の強化が必要となるのですが、管理体制の強化項目として「決算早期化」が求められています。

なぜ、決算を早期化せねばならないのか

端的に申し上げると、決算書を ”早く” 作る目的は「投資家に事業の状況をいち早く説明する」ためです。投資家は自身が投資したお金が、どのような投資に回され、結果、どのように成長したか、会社の事業年度が終わり次第、少しでも早く知りたいと考えてます。

もし、その会社の将来の成長が見込めなければ、保有株式を売却して、その資金を別の会社に投資したほうが良いですし、株価が下落していくのであれば損失がが発生してしまいます。それを判断するための情報は、少しでも早く入手したいと株主・投資家が考えるのは当然のことです。

そのため、上場企業では事業年度が終わった後、いち早く決算書を作り世の中に開示する必要があります。それを実現するべく、「管理体制の強化項目」として決算早期化が挙げられているわけです。

では、どれくらいの早さで決算書を作るべきなのでしょうか。

市場ルールでは、決算日から45日以内を目途に決算書を公表することが求められています。そこから逆算すると、決算日から約5営業日で決算書を作る必要があります。「それって早いの?」と疑問が浮かぶかと思いますが、上場していない会社ですと決算日から1~2か月後にようやく決算書が出来上がるというケースもありますので、上場会社は上場していない会社と比べて、8倍も早く決算書を作る必要があるのです。

決算早期化は「データの使い方」の話

それでは当社がどのように決算早期化を実現したのかについてご紹介していきます。

結論から言いますと、決算早期化をする上で大事なことは「経理業務の作業時間データを集計すること」です。経理業務は、従業員の経費精算や給与計算、固定資産の登録、届いた請求書の入力処理、売上伝票の入力処理等々、いくつかの業務に分類することができます。決算を早期化するためにこれらを片っ端から手を付けていけば良いかというと、それでは早期化は実現しません。

固定資産の登録をしないと減価償却費の計算はできませんし、給与計算や請求書の入力処理をしないと仕掛品の計算が出来ない、といった順番を考えて行わないと効率が悪くなり、早期化は到底実現できないからです。また、時間のかかる作業を後回しにしてしまった結果、決算全体の作業遅延につながってしまうため、この順番を考えるうえで作業時間も考慮する必要があります。

そこで、各経理業務を実際に作業した結果である「作業時間データ」を集計することがとても重要となります。「作業時間データ」と言っても、何時間何分何秒といった細かいものではなく、目安として3時間(午前いっぱい)、5時間(午後いっぱい)、8時間(終日)という程度のものです。前月以前に実際に行った経理業務を踏まえ、経理業務それぞれで要する作業時間データを、1営業日から当てはめていき、5営業日までに全て完了するかを確認します。この際、経理業務を行う上での順番も考慮する必要があるため、パズルのように経理業務を組み立てて行かなければなりません。

経理業務を組み立てていくなかで、どうしても5営業日におさまりそうにない、ということにも直面します。このとき、従業員の皆さんに対しては「経費精算の期日を早めさせて欲しい」、業務委託先の会社さんに対しては「請求書を第3営業日までに送って欲しい」というように、各方面にお願いをしながら、5営業日で締め作業が完了するように調整していきます。お願いされた側は、締切が早くなるので煩わしいと感じてしまうと思うのですが、なぜその期日でないとダメなのかを「作業時間データ」に基づく説明をすることで、納得感をもってもらうことが出来ています。(当社の従業員およびパートナー企業の皆さんは、データの重要性を強くご認識いただいているので、お話がスムーズに通じているということだと思います)

このように、「作業時間データ」を前提に経理業務を組み立てていった結果、5営業日で決算書を作成することが出来る体制が整いました。

具体的には(イメージですが)

  • 1営業日目…立替経費精算、請求書督促連絡
  • 2営業日目…固定資産登録、減価償却計算
  • 3営業日目…給与計算、請求書入力
  • 4営業日目…前払費用・前受金振替、請求書入力
  • 5営業日目…進行基準収益の計上、請求書入力

というような形で進めています。

決算早期化は、DI経営につながる

私たち経理財務部門は、数字を管理するのが主な仕事です。しかし、数字をいくら管理しても業績が上がるわけではありません。私たちは、私たちが管理している数字を用いて、経営判断の助けとなることを目指す必要があります。

「数字=データ」を用いて、経営上の「判断」を助ける。そうです。お気づきの通り、まさにDIそのものです。

前月の売上、前月のコスト、前月の稼働率、前月の原価、、、こうしたデータをタイムリーに経営陣に提供することが、日々の私たちの使命です。

投資家の皆さんが、少しでも早く経営状況をお知りになって投資判断をしたいのと同様に、当社の経営陣も、少しでも早く経営状況を把握して経営判断をしたいと考えています。

そのために、月次決算においても「5営業日」というスピード感で数字を出し続けることが効いてきます。

タイムリーにデータを用いて判断することが、ギックスの成長を加速させることにつながると私たちは考えています。当社のフロントメンバー(コンサルティング部隊)がクライアント企業のDIを推進するのと同様に、私たち経理財務部は、ギックスのDI経営を下支えする組織でありつづけたいと考えています。


Keita Kubo 管理本部 / 経理財務部長
いまさら「神の雫」というワインを題材にした漫画にハマるも、ワインを飲んだ感想は「美味しかった」に尽きるそんな週末を過ごしています。

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