FinTech(フィンテック)とは何か:業界・データ・便益の「3つの”Fin”」で捉えよう

AUTHOR :  田中 耕比古

「Fin」+「Tech」だけど、Finの定義があいまい

本日は、最近話題のキーワード「FinTech/フィンテック」について考えていきます。

Financial(金融)+Technology(IT)

まずは、いつもお馴染みwikipedia先生に訊いてみます。

Fintech(フィンテック、FinTech、Financial technology)とは、情報技術(IT)を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きのことである。2014年ごろから提唱された動向である。

(中略)

FinanceとTechnologyを掛け合わせた造語で、メガバンクやカード会社等の金融機関やその情報子会社、金融系システムインテグレーター、金融×IT分野で活躍するスタートアップなどから生まれた新しい金融サービスを意味する。 国内スタートアップでは、資産管理サービス、金融データのクラウドサービスのMoneytree、クラウド会計ソフトや資産管理ツールのマネーフォワード、クラウド会計ソフトのFreee、ソーシャルレンディングのmaneo、メタップスのSPIKEなどがある。

出所:wikipedia

要するに「金融」に関連する企業が何かITっぽいことをやる、もしくは、「金融×IT分野」に関わるスタートアップ企業が金融っぽいことをやることをFinTechと呼びましょう、というお話になっているわけですね。

しかし、一つ問題があります。そう「金融って何だ?」です。

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業界・データ・便益で捉えると良い

一般的に、FinTechという言葉は「金融業界に深くかかわる」ことを前提に使われているように思います。しかしながら、近年、業界の垣根はどんどんなくなってきています。自動車メーカーがローンを設定したり、小売業者やメーカーが銀行業に進出したりするのは、もはや当たり前すぎるほどに当たり前です。そんな状況下で「金融業界が関わればFinTech」というのは、あまり明快な定義とは言いにくいように思います。

そこで、FinTechを広義に捉える際には、「業界」だけにこだわらず、活用する「データ」および、それによってもたらされる「便益」も含めて、なんらかの ”Financial” の側面があるTechnology(IT)が絡むものをFinTechと定義してみるとスッキリするのではないかとギックスは考えています。

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この、業界、データ、便益の3つのうち、いずれかが「Fin」であれば、それはFinTechと呼んでよいと思うわけです。

尚、このうち、インプットデータは「自社内に蓄積されたデータ」を用いるのか「社外のデータ」を用いるのかという選択肢がありますし、受益者も、「事業者」なのか「ユーザー」なのか、「事業者」の場合も「自社」なのか「他社」なのかということにもバリエーションがあります。

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適用範囲を広く取ると、マップがしやすくなる

そのように考えると、FinTechビジネスを、構造的に俯瞰することができるようになります。

添付画像に、いくつか例示をしてみました。(特定企業の具体事例にならないようにしたため、少々設定に無理があるモノもありますが、ご容赦ください)

例えば、「クレジットカード会社が、自社顧客の明細データを用いて、適切なキャンペーン情報の配信ビジネスを行い、広告主に課金する」というのは、業界もデータも便益も”Fin”だと言えるでしょう。あるいは、「小売企業が、各会員家庭の家計の「費目別出費状況」を集計し、個別家庭に対して”賢い買い物の仕方”を提案する」というようなビジネスを開始した場合は、業界はFinではないものの、データはFin(ID-POS=家計データ)、便益もFin(家計改善)と考えることができます。

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このように「FinTech」を単なる流行りのバズワードではなく「ビジネス・フレームワーク」として捉えてみると、様々なビジネス・チャンスがみえてきます。新しい用語に触れるときには、その意味を自分なりに解釈してみることをお勧めします。

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