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ドラえもんはホンヤクコンニャクの夢を見るか:片方向 音声翻訳機 ili (イリー)を使ってみた|ニュースななめ斬りbyギックス

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古

日本人の永遠の悩み「英語」

日本人の多くは、英語コミュニケーションに頭を悩ませています。もちろん、その悩みには「挨拶や買い物もままならない」、「道案内などになるとお手上げ」、「どうでもいい雑談をしたいのに、うまく言葉を選べず会話にならない」、「商談の場でうまく交渉ができない」、「まだまだ ”日本人だな” と思われてしまう(現地の人と扱ってもらいたい)」など、さまざまなレベルがあるでしょう。

後半に行くほど、難易度は上がりますが、必要な人は減ります。多くの人は(僕も含めて)結構手前でスタックしてます。

ということで、その「だいぶ手前の人を対象にしました」感が満載の自動翻訳機「ili(イリー)」を買ってみました。本日は、そのお話です。

あ、ちなみに、タイトルには、深い意味は無いです。きっと、ドラえもんは、ホンヤクコンニャクの夢は見ません

自動翻訳って、すごい。

さて、そもそも「自動翻訳」ですが、技術的に考えると「音声認識+翻訳+読み上げ」という機能構成になっています。

この一連の処理を、タイムラグ1秒程度で行うのが凄いです。(使い方は、ボタンを押しながら日本語で話しかえて、指を離せば、英語に翻訳されます。簡単。)

片方向+オフラインという割り切り

さて、この処理ですが、

  • 旅行英語、日常会話に特化
  • 日本語英語の片方向(※別機種では、英語→日本語、日本語→中国語 などの片方向)
  • オフライン(=圏外とかWiFiとかローミングとか気にしない)

という潔い割り切りで設計されています。加えて、

  • シンプルな短文を中心に処理
  • わからなかったら、単語を拾って翻訳

になっています。

具体的には、本来であれば「今日の天気は?」を「What’s the weather like today?」と訳してくれるところを、うまく日本語を聞き取れなかった場合には「天気」だけを拾って「weather」と訳してくれるわけですね。シンプル。

ちなみに、「翻訳後の音声のリピート再生」もできるので、英語の勉強(翻訳後の文章の聞き取り練習)にも使えます。便利。(翻訳後に、横にあるボタンを押すと、再度、英文を読み上げてくれます。)

戦略とは捨てること

この商品は、いわゆる「戦略とは捨てること」を体現した商品だと言えるでしょう。 →関連記事:SONYはなぜGoProを作れなかったか?(WEDGE 8月号)/ニュースななめ斬りbyギックス

特に「片方向翻訳」というのは、尋常ではない捨て方です。iliのサイトでは、以下のように片方向翻訳である理由を説明しています。

相手がiliの使い方を知らないので翻訳できない

長文で話してしまったり、強い方言が入ってしまう。 
また、ボタンを押しながら話すという事をうまく伝えられない。

旅行先で相手がiliの使用を嫌がる

ショップやレストランのスタッフは忙しく、落ち着いて話すことができません。
いきなり渡そうとしても警戒されてしまいます。

旅行先で見ず知らずの相手に iliを渡すのが怖い

見ず知らずの人に渡すことは、不本意な故障や盗難のリスクが高く、安心して使うことができません。

⇒ 一方向翻訳「意思を伝える」ということにフォーカス

出所:ili公式サイト

もちろん「技術的にさ」とか、「オフラインにしたから、容量がさ」とかいった、いろいろな事情があるとは思いますが、上記の内容は、特に違和感なく受け止められます。

実際に利用されるシーンに沿って考えた、というのも、非常にわかりやすいですね。いらないものを捨てる、は上でご紹介した関連記事にもある通り、商品を尖らせることにつながり、その結果「ちゃんと使われるプロダクト」になるのです。

また、オフラインであることも、極めて良い選択です。

他社製品(オンライン)も、Global対応のSIMカードを搭載するなど「使えない」ということを無くそうとしてはいますが、やはり「ネットワークにつながってないと使えない」という不安を抱えることになります。それって、翻訳機としてどうなの?という気がします。

未調査ですが、他社商品も、おそらくは、オフラインで「最低限の翻訳」はできるのではないかと推察します。しかし、最高のパフォーマンスが出てこない商品を使わせてしまう、というのは、心理的負担につながります。(英語ができない人が、信頼できない翻訳機を使うのか?ということです。)

雪国もやしの「もやしを漂白していない」、かつてのコカ・コーラによる「ビンを消毒している」、などのマーケティングメッセージに似ています。ご存知の通り、もやしを漂白しているメーカーは、数十年前から存在しません。また、ビンを消毒しない飲料メーカーも普通はありません。しかし、それを「わざわざ言う」というマーケティング・メッセージによって ”他社と一味違う感” を醸成したわけです。

正しく捨て、正しく伝える。戦略とマーケティングが、しっかりと組み合わさっている好例だな、と感じる商品です。

ちなみに、こういう商品がどんどん出てくることで、僕が英語を学ぶ必要性が下がってくるなら、何と嬉しいことだろう。という気持ちでいっぱいです。他の企業さんも含めて、より使いやすく、より便利な「ホンヤクコンニャク」を開発していただければと思います!!!たのしみっ!

自動翻訳機「ili(イリー)」

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