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第4章「あなたは”24時間働く”仕事人間になれるか」自己を律し、他人に求めるな|ハーバードビジネスレビュー マネジャーの教科書/ギックスの本棚

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
第4章「あなたは”24時間働く”仕事人間になれるか」自己を律し、他人に求めるな|ハーバードビジネスレビュー マネジャーの教科書/ギックスの本棚

全ては”選択”である。

本日は、ラクシュミ・ラマラジャン助教授の、「あなたは『24時間働く』仕事人間になれるか」を読み解きます。

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ベストな働き方、なんてものはない

この論文は、「理想的な働き手」というものになることを、会社(もしくは社会)から迫られるということに着目して書かれています。

社会学者の言う「理想的な働き手」は、朝も晩も仕事に打ち込む人たちです。それを拒む(できない/したくない)ことは、基本的に不利な扱いを受ける、という構造があります。いくらダイバーシティだの働き方改革だのと言っても、企業という営利団体において、この基本的な構造は変わりません。その事自体に憤っても仕方ありませんし、目をつぶったからと言って事態が好転するわけでもないのです。事実は事実。

その前提において、従業員は3種類の反応をする、と著者は述べます。

1.【受け入れる】プレッシャーが強い職場の要求を受け入れ、これに従う

僕は、このタイプでした。24時間働きまくる。組織の期待に応える。コンサルティングファームでの調査(2016年)では43%がこのグループに属すということなので、僕は「一般的なコンサルタント」だったということですね。ちなみに、胃に穴が開いた(物理的に)ので、他人におススメはしないです。はい。

2.【振りをする】理想的な働き手の振りをしながら、逃避の手段を密かに探す

先ほどの調査では、コンサルティングファームの27%がここに属したそうです。深夜のメールにも一応返信し、仕事をしている振りをするものの、実際はプライベートの用事などを優先する。賢いやり方に見えますが、全てを開示していない・隠し事をしているということは、心理的に負担になります。また、他者のマネジメントにおいては「理想的な働き手になれ」というメッセージも出しづらく、一方で「”働いている振り”をして要領よくやれ」という助言もおおっぴらには言いにくく、さらには「堂々と断れ」とも(自分がそうしていないので)推奨しにくい。なかなか難しいですね。

3.【公言する】仕事に意外にも大事なものがあり、それを捨て去る気がないことを公言する

断固拒否! 潔いですね。先ほどの調査では、30%の人がこれだと答えたそうです。(ちなみに、女性の50%、男性の4分の1強とのことです。さて、このコンサルティングファームの男女比はどうなっているでしょう?笑)プライベートは大切にできるが、キャリアに対してはペナルティを支払う必要がでてきます。(繰り返しますが、事実として存在する、ということです)

どうすればいいの?

本論文においては、そのどれが良い、という結論には至りません。むしろ、そういう人たちがいる、と理解して「リーダー(マネジャー)がどうふるまうべきか」というお話になります。(まぁ、書籍名が「マネジャーの教科書」ですからね。当然です。)

  • マネジャー自身が、仕事以外のアイデンティティを養い、メンバーにもそれを奨励する
  • 時間で計測することを控え、実際の成果を測定することで、「振りをする」動機を下げ、「公言する」ことで支払う代償を減らすように仕向ける
  • 休暇の奨励や、勤務時間のコントロールを積極的に行い「私生活を守る」という姿勢をみせる

というような対応をしていくと良い、と述べられます。妥当です。

量と質の問題ではない。結果の問題だ。

で、まぁ、ここからは完全に僕の個人的見解なのですけれど、、、 結局のところ、こんなものに正解は無いんですよね。

ただ、一つだけ言えるのは「量(労働時間)なのか質(生産性)なのか」という議論は無駄なんです。大事なのは「結果(生産量)」です。

量×質=生産量 という公式で考えると良いでしょう。以下の二つの数式を見てください。

  • 10時間×100/h=1,000
  • 2時間×500/h=1,000

生産量は「1,000」で同じです。しかし、労働時間は10時間と2時間で5倍違います。なぜか、生産性(=単位時間当たり生産量)が5倍違うからです。

生産性を上げる=単位時間当たり生産量を増やす、ということが「成長」なわけで、それを怠って”短く働きたい”というのは、目的と手段をごっちゃごちゃにして闇鍋にぶち込んでる感が否めません。バネは縮まないと飛びません。縮むことも大事なんです。

いずれにしても、他人に求めてはいけないのだ

しかし、だからといって、それを他人に強要してはいけません。特に、マネジャーとして部下を率い、チームとしての成果を出していくという行為は「再現性」と「継続性」が求められる仕事です。人には人の成長速度や成長の仕方がありますし、そもそも、十分に成長した!と感じる基準も違います。

ですから、大切なのは「自分で選ぶこと」と「他人に求めないこと」です。

他人に対しては、「自分はこうである」ということと、「それが唯一無二の選択肢ではない(ほかの選択肢もある)」ということを伝えるに留めましょう。そして「選ぶのはあなた自身だ」というメッセージを出すしかありません。

僕自身、仕事にすべてをつぎ込んだ数年間があります。その結果、身体を壊しました。しかし、その経験のおかげ(せい?)で大きく成長した(生産性=単位時間当たり生産量がきわめて大きくなった)という成功体験も抱えています。

同じような体験をしたからと言って、同じように成長できる保証はありません。何も得られず、単に身体を壊しただけで終わるおそれさえあります。だから、「人生のすべてを仕事に費やすべきだ」なんてことは言えません。「僕は、そういう経験で、こういう風な結果になった」ということと、「その選択肢を選ぶかどうか、他の選択肢と見比べて、しっかり決めなさい」と言うのみです。

物事にはすべからく正の側面と負の側面とがあります。一面的に捉えるのではなく、常に、客観性をもつように心がけたいと思いますよね。

 

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